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「特別支援教室で活用するヨガと自己評価が低い児童への対応について」:東京都練馬区立大泉南小学校

執筆者の写真: gakkouyogagakkouyoga

更新日:2024年10月23日

 この度、代表理事太田千瑞とがっこうヨガ会員寺中優子が練馬区立大泉南小学校にて、行われた「特別支援教室で活用するヨガと自己評価が低い児童への対応について」 をテーマにした授業実践と教員向け研修に登壇しました。




○児童への授業実践 


 ヨガの説明を行い、動機づけを高めてからスタートしました。新しい人や場面に慣れにくい子どもたちが多い場合には、この時間がとても重要です。






 (参考までにPDFを添付します。ダウンロードできますが、説明の仕方は子どもの発達・特性に合わせて行ってください。具体的な方法や教授法は、がっこうヨガ会員ページにて解説しております。)








○導入場面


 日頃、読み聞かせより授業がスタートするとのことで、担当教諭による導入が行われ、講師太田へとバトンタッチしました。

全員があぐらの姿勢で座ることが出来ており、小集団での指導の積み重なりを感じました。


 

○呼吸法


 ヘビの呼吸、ハチの呼吸を説明し、実践した後、各自、自分が心地良い呼吸を選んで実践しました。楽しそうな笑い声が上がり、素直に練習を繰り返していました。


○ヨガゲーム


 緑と赤のお手玉を使った「心の目」を使う当てっこゲームでは、交感神経が高い状態なのか、興奮が残っており、騒がしくなる場面がありました。しかし、先生の指示に合わせて目を瞑る度に、少しずつ落ち着きを得ていくようでした。少しずつ変化していきました。 

 次は、音を聞いて動く「心の耳」でしたが、 児童たちは、まだ落ち着かない様子で姿勢の崩れも目立ちました。ふざけながらも、参加しようとする態度が見られ、この場面での応対が重要だと思いました。 


○ゆらゆらストップ

 このヨガゲームは、模倣の練習であり、体幹や重心のコントロールとのことです。しかし、全体的に、おしゃべりが止まらず、指示も通りにくい場面が多く見られました。彼らの口から出てくる単語を、千瑞先生は動揺せず、1つずつちゃんと拾いあげていました。そし て、うまく軽やかなテンポで、遊びの形にして取り入れる様子が続きます。それにより、児童たちは、「この先生は自分をちゃんと見てくれている。味方なのかな」と確認したからなのか、信頼関係が出来始めるのを感じました。 


○足指でじゃんけん

 舟のポーズ(V字バランスのポーズ)で腹筋と背筋を使いながら行っていました。バランスが取れずに転がり、ケラケラ笑って楽しんでいる様子や身体が、温まってくる様子が一緒に楽しみながら伝わってきました。 


○ロケット呼吸

 千瑞先生は、児童たちと目をしっかり合わせて、作為的にフェイントを仕掛けていました。笑い声が溢れてくるので、私自身も童心へ帰って楽しく参加しました。児童たちも先生も、盛り上がる場面でした。フッと呼吸が落ち着いてきた所でヨガポーズの切り替えをなさっていました。そのため、スタート時に見ら れた興奮状態ではなく、前向きに取り組もうとする意欲的な姿勢へつながり空気が変わったことが感じられました。


○木のポーズ(一人)からペア(2〜3人)飛行機のポーズ


 骨盤位の安定や呼吸と集中力をつなげる場面ですが、なかなかうまくいきません。 児童と先生、児童の2パターンでペアワーク実践する方法へ変更。揺らぐ感覚や、支え合うことで、バランスが取れたり楽に立てる感覚を楽しんでいるようでした。アシスタントとしてそれぞれのペアにもアドバイスしながら参加できました。


○猫のポーズ・コブラのポーズ、スーパーマン


 うつ伏せでの後屈もしっかり日頃のトレーニング効果もあり、脊柱の柔軟性がしっかりとあったため、ゆっくり動いてみることへのステップが踏めました。


○下向きの犬のポーズ


 すでに経験があるようで、伸びやかな背骨が出来ており、手のひらで押す感覚を育てるインストラクションを千瑞先生は加えていました。


○仰向け(風船の呼吸) 

 足指が丸まっている児童に対して、千瑞先生は指先のストレッチを入れていました。細やかな配慮だと思いました。それによって、そわそわと姿勢が安定しない児童も仰向けで呼吸することができていました。落ち着いた様子が続き、表情も和らいでいました。 


○まとめとふりかえり


 あぐらの姿勢に戻り、ティンシャの音をゆっくり聴く場面では、授業スタート時には、衝動的に反応をしていた児童が、この段階では、音の余韻を聞ける状態になっていたことに驚きました。 

 今回、児童の人数が少なく丁寧に様子を拝見できました。同じ診断名がついているようでしたが、その子その子の発達段階は違い、ヨガで見られる反応にも違いがありました。子供それぞれの特徴や反応に寄り添い、また、感情の起伏の具合に講師が寄り添うことで、信頼関係が生まれていくのを感じました。

 信頼関係があることで、本人が勇気や希望を持ってチャレンジしたり、失敗しても「もう一回やってみよう」と思えるのではないでしょうか。

 今回、私自身がまだまだ未熟であり、わずかな時間での観察で判断がつかない部分も多々ありますが、子どもたちに秘められた「発達の可能性」を肌で感じられました。 









○教員向け講義、質疑応答


 児童に行った授業内容を振り返りながら、ヨガのもたらす効果と理論的な説明がなされました。ヨガの実践については、普段、指導している児童一人一人の様子を先生方と情報共有しながら、今後どうやって活用するのが良いかを、千瑞先生に質疑応答しながら探っておられました。また、実際にヨガの動きを体験していく中で、思考が深まっているように伺えました。最後まで集中して参加してくださり、小集団で行うと良い「信頼の輪」を実践しました。全員から、歓喜が上がり、感嘆が漏れました。まさに、 力を抜いて、相手に身を委ねてみる。一人で支えようとしゃかりきになるのではなく、お隣の人と 協力していくという現代の社会のなかで見直していきたい「心と体の力の抜き方と入れ方」が詰まっていました。知識だけではなく、それを実践して体感してこその学びの時間でした。

 また、逆も然り。 実践・体感だけでは、本質から外れてしまう危険が生じることもあると私は感じているので、このように、理論がベースにある上で「遊び」の形に表現できる千瑞先生の進め方がとても勉強になりました。先生の技術や知識はもちろんのこと、そのお人柄であったり相手を丁寧に観察して臨機応変に対応できる柔軟性を、私も身に付けていきたいです。



(レポート担当:アシスタント 寺中 優子 )






○先生方のご感想


「実際にヨガを体験することで、児童の実態に応じたヨガのポーズを知り、指導する際のポイントが分かりました。また、ヨガを通じて、自分の内側に意識を向けることの心地よさを、私自身体感することができました。がっこうヨガのホームページやYouTube動画では、短い時間で取り組めるヨガがたくさん紹介されていたので、今後も指導に取り入れていきたいと思います。ありがとうございました。」





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