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ヨガ授業の評価方法の観点から〜実践報告/学校法人天満学園太成学院大学高等学校「高校生とヨガ授業」No.3

嶋田 栄美

 皆様、こんにちは。学校法人天満学園太成学院大学高等学校体育教諭であり、がっこうヨガ会員兼事務局として活動している嶋田です。

勤務校での実践報告第3回目の今回は、体育における体つくり運動としての単元[第3時限目]の概要と評価に繋げる実例をお伝えします。



【授業について】

  • 高校2年生、スポーツクラス

  • 体つくり:50分×全5回

  • 単元目標…太陽礼拝Aを習得する。授業内で実施した呼吸やポーズを日常生活の運動習慣へつなげる

    (自己理解やセルフケアの一助となる提案を行い、生徒自身の主体性を伸ばす)



【第3回目】

  • ねらい…テストに向けて「正しいアライメント(姿勢)を覚える」ことも重要なため、、太陽礼拝Aを繰り返し、練習することで、動きの順序と体の使い方のポイントを意識しておこなう

  • 実施場所…柔道場

  • 生徒数…35名前後(クラス別に実施)

  • 実施内容…

 1.5本指の呼吸

 2.ストレッチ&ヨガ

 ※心拍数の測定(30秒測定→2倍し1分間心拍数として数字を記録)


  • 目的…

 1.学校内で「時間」を感じ、内観を目指す、リラックスする

 2.呼吸法・ヨガ・マインドフルネスを身近に感じて、習慣化へつながるきっかけ作りとする

 3.教員の見本がなくても、方法や覚え、自分でおこなえるようになる


  • 生徒の様子…

 1.授業開始時

 呼吸法やヨガに関する会話が生徒より見受けられ、授業に対する興味関心の高さや本時の授業を楽しみにしている様子が伺えた。


 2.心拍数計測①

 「目は閉じるのか、開けたまま計測するのか、気持ちが良い方を優先しましょう」と声かけを行う。この掛け声は毎回おこなうことで「いま」の自分を優先した選択を促す。

 その後、間を空けず計測開始のカウントダウンを「5秒前…2・1・スタート!」行った。

これまで2時間おこなっているので、非常に穏やかな雰囲気でスムーズに進行された。


 3.用紙に心拍数記録後、呼吸法。

 「風船の呼吸」「五本指の呼吸」「エレベーターの呼吸」の実施。

各呼吸ごとに、<どんな時に・どうなりたい時にオススメか>を説明しながら、今日行ってみたい呼吸法について味わう時間を設けた。その後、本時の授業にて、実践する呼吸法を生徒と話し合って選択し、決定する導入とした。


 4.呼吸法…3つの取り組み方法や参加方法を提案し、実践する。

 ①自分の感覚で ②腹式呼吸・胸式呼吸をそれぞれ体験 ③その日選んだ呼吸法を繰り返す

 ①②③全て、まずは自分のペースでおこない、次に先生のカウントに合わせて実施し、練習。

 ※「無意識を意識する」と呼吸のあり方を味わえるような声をかけたり、担当教諭の呼吸数を数える指示(インストラクション)に呼吸を生徒が呼吸のリズムをコントロールし、「合わせる」という方法を行ったりと、参加方法に幅を持たせた。その後、2つどちらもおこなうことで、普段の呼吸が浅いか深いか、短いか長いか、自分をただただ感じてもらう時間を設けることで、内観へとつながりやすくした。生徒の特性に合わせ、まずは、違いを味わうことを目的に実践したケースも散見された。


 5.心拍数の計測と記録②


 6.ストレッチ〜ヨガを呼吸に合わせて実践

 1・2回目と同じ流れでおこなう。身体の使い方のポイント説明を加え、より筋肉や関節の伸び具合や硬さを感じやすいように、体の部位の動きを実演しながら説明し、実施へと流れを作った。

 首→肩→腕・手首→腰回り→股関節とゆっくりと可動域を感じるようにし、身体意識が深まりやすいよう、体の上部から下部へと伝えていく

 その後、太陽礼拝Aを繰り返し行う。テストに向けて「順序とポイントを覚える」必要があるので、次の2つのことを意識して指導した。

①まずは呼吸のみ声掛けしながら誘導する方が覚えやすいよう(3年間の指導実践より感じること)。「吸う」「吐く」の声掛けをゆっくりなテンポでおこなう。

②3セット目頃から、適宜、身体の使い方のポイントを声かけを徐々に増やしながらヨガを実践する。


 7.休息のポーズ(シャバーサナ)

 この時間は、生徒によっては、恥ずかしさや戸惑いから、私語が目立つ場合がある。1・2回目と同様に叱責や否定をせずに、目的を次のように伝えることに徹した。特に、ささやくように小さな声でゆっくりと伝えていく工夫を重ねると、生徒自身が”自分の時間を味わう”ようになった。

 ※シャバーサナ中に心がけているメッセージ性の高い声かけの主な内容

 ・太陽礼拝を繰り返しおこなったことでシャバーサナの効果がより高まるかもしれませんね

 ・ヨガを続けていると、ヨガ哲学で大切だと言われている。「盗まない」という捉え方ができるようになっていくようです

 ・みんなの学びたい気持ちや時間を「盗まない」ことは沈黙を味わうことではないでしょうか

 ・今はリラックスすること、ホッと自分の時間を過ごすこと、が一つの目的です。このかけがえのない時間と場所を盗まないようにしてみましょうね

 ・友だちの時間も、そしてあなた自身の時間も、大切に大切にしてあげてくださいね


 8.リラックスから切り替えへ

 スッキリ感も促せるように目覚めていくようにする

 手のひら→足の指→足首・膝、股関節→腰周り・背中→首→肩と、順に動かしながら、身体感覚が変わっていないか、それとも変化がないのか、スッキリしていくのか?自問自答しながら、感覚を味わえるように時間的な余白を設ける。その後、ゆっくりと身体を起こすように伝えた。


 9.心拍数の計測と記録③


 10.記録用紙に記入

 (ヨガ前後の比較を、用紙の質問に答えながらまとめる)


 11.ふりかえり・まとめのインストラクション(例)

 ・今夜から夜と朝に数セットずつ太陽礼拝Aを毎日おこなってみましょう

 ・感想をまとめながら感じたこと、呼吸の浅い・深いや、身体の伸びや硬さを感じる心地良さを、ぜひ覚えていてください

 ・今日一緒におこなった呼吸法やヨガの中で、気持ち良いと感じたものを、次回授業まで朝・夜などに続けてみましょう

 ・教室は戻る際は、少しボーッとするかもしれないので、気をつけて、急がず歩きましょう



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 子どもとの「ヨガ」「マインドフルネス」をしたい方、学校への導入を検討している方への具体的な実践の参考になれれば幸いです。


なお、このレポートはシリーズとして、継続的に記事がアップされます!

太成学院大学高等学校様ご協力、ありがとうございます。




【参考にしている講座】


(がっこうヨガ会員 事務局 嶋田栄美)


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